はじめに

ピンクの睡蓮

これほど翻訳ツールが開発されている時代に、英語を身につける必要があるのかとお考えのかたもいらっしゃるでしょう。私が英語学習に費やした時間を無駄だと思わない理由のひとつは、会話の中の「間」をコントロールできることです。テンポ良く会話が進められると相手も会話を楽しむようになるので、意外な情報を得られることもあります。たとえ思うようにことばが出ないことがあっても、聞き手はこちらの努力を感じとってくれます。

英語に興味を持ったのは、アメリカ人の歌う曲を耳にしたとき、ことばが流れるように聞こえたからなのですが、高校で文法を学んでいた頃は、文法書に書かれている「例外」を見ると、暗記する気力をなくしたことを思い出します。当時は、莫大なデータを頭に入れなければ、英語が話せないように感じていました。リーディングが苦手で、文構造を解析する作業のように思っていました。

時は流れ、文法をイメージで理解する方法を紹介する書籍が店頭に並び始め、私が長い間待ち望んでいたものにようやく巡り会えた気分で、ある一冊を購入しました。これほど読書が楽しいと感じられたことはありませんでした。

それ以降も勉強を続け、文法から感情が読み取れることを知り、リーディングが嫌なものではなくなりました。それまでは、会話中に「過去形か現在完了形のどちらを使うべきか」を、共に使おうとする時間の表現を思い浮かべて決めていたので時間が掛かっていましたが、意識(あるいは目線)が異なることが理解できると、ほぼ瞬時に選択ができるようになりました。ただの暗記では経験できない感覚です。

英語を話せるようになりたいけれど、文法の勉強が億劫で二の足を踏んでいるというかた、仕事で英語が必要だけれど1回のレッスンにあまり時間が取れないかた、イメージで身につける文法に興味があるかたなど、是非体験していただきたい世界です。